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老後に困らない間取りのポイント

2026.04.27

 

 

家づくりを考えるとき、多くの人は「今の暮らしやすさ」を中心に間取りを考えます。子どもが小さい、共働きで忙しい、家事を楽にしたい、リビングを広くしたい。もちろんそれらはとても大切なことですが、もうひとつ忘れてはいけない視点があります。それが「老後の暮らしやすさ」です。

注文住宅は、建てたあと20年、30年、場合によってはそれ以上住み続ける家になります。つまり、人生の中でも長い時間を過ごす場所になります。若いときには気にならなかった間取りの不便さが、年齢を重ねるにつれて大きな負担になることも少なくありません。老後に困らない間取りとは、特別な設備をたくさん入れることではなく、将来の暮らしを少し想像して設計しておくことです。

ここでは、老後に困らない間取りの考え方についてお話しします。

 

 

1階だけで生活できる間取りを考える

 

老後の暮らしを考えるうえで、最も重要なポイントのひとつが「1階だけで生活が完結できるかどうか」です。若いうちは階段の上り下りはそれほど苦になりませんが、年齢を重ねると階段は大きな負担になります。足腰が弱くなったり、ケガをしたりすると、2階に上がること自体が大変になることもあります。

そのため、将来を考えると、1階に寝室として使える部屋を用意しておくと安心です。今は子ども部屋や客間、在宅ワークの部屋として使い、将来は寝室として使うというように、用途を変えられる部屋が1階にあると、長く住み続けやすい家になります。

最初から「老後のための部屋」を作るというより、「将来使い方を変えられる部屋」を1階に用意しておくという考え方がとても大切です。

 

 

寝室とトイレの位置関係を考える

 

老後の生活では、寝室とトイレの距離もとても重要になります。年齢を重ねると夜中にトイレに行く回数が増えることがあります。そのたびに長い廊下を歩いたり、寒い場所を通ったりする間取りだと、体への負担が大きくなります。

寝室の近くにトイレを配置しておけば、夜間の移動が楽になります。これは老後だけでなく、体調が悪いときやケガをしたときにも助かります。家づくりではリビングやキッチンの位置ばかりに目がいきがちですが、寝室とトイレの距離は長く住む家ではとても大切なポイントです。

また、夜中にトイレへ行く動線に段差がないか、暗くないかといった点も意識しておくと、より安心して暮らせる家になります。

 

間取り例

 

段差はできるだけ少なくする

 

家の中のちょっとした段差は、若いうちは気にならないことが多いですが、年齢を重ねるとつまずきの原因になります。特に玄関、和室、洗面所、バルコニーへの出入り口など、数センチの段差でも転倒の原因になることがあります。

最近の住宅は昔の家に比べて段差が少なくなっていますが、それでも完全に段差がない家は多くありません。将来を考えるなら、できるだけ段差を少なくする、もしくは将来スロープや手すりを設置できるように下地を入れておくと安心です。

家の中での転倒は、大きなケガにつながる可能性があります。段差を減らすことは、老後だけでなく、子どもや家族全員にとって安全な家づくりにつながります。

 

 

廊下やドアの幅は少し広めにする

 

間取りを考えるとき、廊下やドアの幅はあまり気にしない人も多いですが、老後の暮らしやすさには意外と重要なポイントです。将来的に杖を使うようになったり、介助が必要になったりした場合、通路が狭いと移動が大変になります。

また、ドアは開き戸よりも引き戸の方が、体への負担が少なく使いやすいと言われています。開き戸は開閉のためのスペースも必要ですが、引き戸は横にスライドするだけなので、力が弱くなっても比較的楽に使うことができます。

すべてのドアを引き戸にする必要はありませんが、トイレ、洗面所、寝室など、よく使う場所は引き戸にしておくと将来的にとても使いやすくなります。

 

 

収納は量だけでなく高さも大切

 

収納を考えるとき、多くの人は「どれだけ収納量を増やせるか」を重視します。しかし老後を考えると、収納は量だけでなく「高さ」もとても重要になります。

高い位置の棚は脚立を使わないと届きませんし、低すぎる収納はかがまないと物を取り出せません。年齢を重ねるほど、こうした動作は大きな負担になります。

そのため、普段よく使うものは立ったまま取り出せる高さに収納を作ることが大切です。ウォークインクローゼットやファミリークローゼットなど、立ったまま出し入れできる収納は、将来的にも使いやすい収納になります。

収納は「たくさん作ること」だけでなく、「無理なく使い続けられること」も考えて計画することが大切です。

 

 

老後に困らない家は特別な家ではない

 

老後に困らない間取りというと、平屋や完全なバリアフリー住宅、手すりだらけの家をイメージする人もいるかもしれません。しかし実際には、そこまで特別な家にする必要はありません。

大切なのは、
今だけでなく将来も暮らしやすいか、
階段を使わなくても生活できるか、
段差は少ないか、
寝室とトイレは近いか、
通路は狭すぎないか、
収納は使いやすい高さか、
といった基本的なポイントを、間取りを考える段階で少しだけ意識しておくことです。

これらは大きく費用が上がることではありませんが、住み始めてからの暮らしやすさには大きな差が出ます。

 

 

まとめ|家は長く住む場所という前提で考える

 

家づくりでは、どうしても「今の暮らし」に目が向きがちです。しかし実際には、子どもと一緒に暮らす期間よりも、夫婦二人で暮らす期間の方が長いというケースも多くあります。

老後に困らない間取りとは、将来のためだけの特別な家ではなく、今も将来も無理なく暮らせる家のことです。少しだけ将来の自分たちの生活を想像して、階段、段差、寝室の位置、トイレの位置、通路の広さ、収納の高さなどを考えておくことが、長く快適に暮らせる家づくりにつながります。

家は建てたときが完成ではなく、住み続けていく中で本当の住みやすさが分かってきます。だからこそ、「今の暮らし」と「将来の暮らし」の両方を考えた間取りにしておくことが、とても大切なのです。