スタッフブログ・家づくりコラム
将来モノが増える家・増えにくい家の違い
2026.02.09
家づくりを考えるとき、多くの方が「収納はたっぷり欲しい」と希望されます。確かに収納量は重要ですが、実は収納を増やしただけでは、将来モノが増えにくい家にはなりません。住み始めて数年が経つと、「こんなに収納をつくったのに、なぜか片付かない」「気づけば家の中がモノであふれている」と感じる方も少なくありません。モノが増えるかどうかは、住む人の性格だけで決まるものではありません。家そのもののつくり方、収納の考え方、暮らしの動線によって、自然とモノが増えてしまう家と、増えにくく保ちやすい家に分かれていきます。ここでは、その違いを具体的に見ていきましょう。
モノが増える家は「置き場が決まっていない」
将来モノが増えやすい家に共通しているのが、日常的に使うモノの定位置が曖昧なことです。郵便物、学校のお便り、カバン、上着、買い物袋など、毎日家に持ち込まれるモノほど「とりあえず置く場所」になりがちです。
こうしたモノの置き場が決まっていないと、一時置きが常態化します。最初はダイニングテーブルの端やカウンターの上だったものが、徐々に範囲を広げ、気づけばリビング全体にモノが散らばっていきます。これは収納量が少ないから起こるのではなく、収納の配置が暮らしに合っていないことが原因です。
一方で、モノが増えにくい家は「使う場所の近くにしまう場所」が自然と用意されています。玄関で使うものは玄関に、リビングで使うものはリビング周辺にと、行動と収納がセットで考えられているため、無意識のうちに元の場所へ戻す流れができあがります。
収納が多いだけの家ほどモノが増えていく
意外に思われるかもしれませんが、収納が多い家ほどモノが増えていくケースは少なくありません。理由は単純で、しまえる余白があることで「まだ入るから大丈夫」という心理が働くからです。
とくに納戸や大型のクローゼットなど、まとめて収納できる空間は要注意です。使わなくなったモノ、いつか使うかもしれないモノを、とりあえずしまい込む場所になりやすく、結果としてモノの総量が増えていきます。どこに何があるのか分からなくなり、同じ物を再び買ってしまうことも起こります。
増えにくい家では、収納を「量」ではなく「役割」で考えています。ここには何をしまう場所なのかが明確なため、用途不明のモノが入り込む余地が少なくなります。収納があるからモノが増えるのではなく、使い道が曖昧な収納がモノを増やしてしまうのです。
生活動線と収納がずれていると散らかりやすい
家の中でモノが増えやすいかどうかは、生活動線との関係も大きく影響します。例えば、帰宅してから上着を脱ぐ場所と収納場所が離れていると、毎回クローゼットまで行くのが面倒になり、椅子やソファに置きっぱなしになります。
洗濯後の動線でも同様です。洗う、干す、たたむ、しまうという一連の流れが分断されていると、「あとでやろう」が増え、結果として一時置きの山ができてしまいます。これが繰り返されることで、家全体が片付かない印象になっていきます。
モノが増えにくい家は、行動の流れの途中に自然と収納が組み込まれています。わざわざ動かなくても、ついでに片付けられる位置に収納があるため、意識しなくても整いやすい環境がつくられています。
家族構成の変化を想定していないとモノは増える
新築時はすっきり暮らせていても、数年後に急にモノが増え始めることがあります。その大きな要因が、家族構成やライフスタイルの変化です。子どもの成長、趣味の変化、在宅ワークの開始など、暮らしは年月とともに必ず変わっていきます。
その変化を想定せず、今の暮らしだけで収納を計画すると、将来的に収納不足を感じやすくなります。結果として家具を買い足したり、部屋の一角を物置のように使ったりするようになり、モノが増えた印象を強く感じてしまいます。
増えにくい家では、使い方を変えられる余白があらかじめ用意されています。最初は空いている収納でも、将来の使い道が想定されているため、暮らしの変化に合わせて自然に役割が移行していきます。
見えない収納が「安心感」をつくりすぎてしまう
扉付き収納や奥行きの深い収納は、見た目がすっきりする反面、安心感を生みやすいという特徴があります。扉を閉めれば見えなくなるため、片付いた気分になりやすく、不要なモノを手放す判断が後回しになってしまいます。
この「見えないから大丈夫」という感覚が続くと、気づかないうちに収納の中がパンパンになり、整理すること自体が億劫になります。結果として、モノの量が増え続けてしまいます。
一方で増えにくい家では、収納の中身が把握しやすい工夫がされています。すべてを隠すのではなく、見える部分と隠す部分のバランスを取ることで、モノの量を意識しやすくしています。

家づくりで大切なのは「増えない仕組み」
モノを増やさないために必要なのは、我慢や努力ではありません。家のつくりそのものに、増えにくい仕組みを組み込むことが重要です。収納量を増やすことよりも、どこで何を使い、どこに戻すかという流れを明確にすることが、長く快適に暮らすためのポイントになります。
住み始めてから片付けに悩まない家は、特別な収納テクニックを使っているわけではありません。暮らしの動きと空間が自然につながっていることで、無理なく整った状態を保てるようになっています。
まとめ|将来を見据えた収納計画が暮らしを変える
将来モノが増える家と増えにくい家の違いは、収納の量ではなく考え方にあります。今だけを見るのではなく、数年後、十年後の暮らしを想像しながら計画することで、住み続けるほど快適さを実感できる住まいになります。
家づくりは完成した瞬間がゴールではありません。暮らしが続いていく中で、「この家にしてよかった」と感じられるかどうかは、こうした目に見えにくい部分で決まっていきます。将来の自分たちの暮らしを思い描きながら、増えにくい仕組みを取り入れた家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。