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ベランダを小さくして、暮らしを広く。最近増えているコンパクトバルコニーの選択

2025.11.17

 

 

かつてベランダといえば、洗濯物を干すために欠かせない場所として、多くの家に当たり前のように設けられていました。家族が増えれば物干しスペースも大きく取り、屋根をつけて雨の日にも対応する。そんな「ベランダの広さ=便利さ」という考え方が主流だった時代がありました。しかし、今の暮らし方は大きく変わりつつあります。共働き家庭が増え、日中に洗濯物を外で干す時間が減ったこと。花粉やPM2.5など外気の影響を避けたいというニーズが高まったこと。さらに、乾燥機やランドリールームを備えた間取りが一般化し、「外に干す」という行為自体が減ってきたのです。こうした変化の中で、「ベランダは小さくても十分」「むしろ小さいほうが暮らしやすい」という考え方が注目されはじめています。それが、コンパクトバルコニーという新しい選択です。

 

 

2. 高性能住宅ほど外に頼らない暮らしへ

 

ZEHやHEAT20などの高断熱・高気密住宅が当たり前になった今、家の中の温度や湿度を一年中快適に保つことが可能になりました。外気の影響を受けにくく、室内環境が安定しているからこそ、「外に開きすぎない暮らし」が理想とされるようになっています。かつてのように日当たりの良い場所に大きなベランダをつくることが必ずしも正解ではありません。太陽光発電を搭載した屋根や、全館空調を導入した住まいでは、ベランダの張り出しが日射や風通しを妨げてしまうこともあります。エネルギーを効率よく使い、室内環境を守るという観点では、必要最小限のベランダの方が理にかなっているのです。

つまり、高性能住宅の時代においては「大きなベランダを持つこと」よりも、「暮らし全体の快適性を最優先すること」が、これからの家づくりの基準になりつつあります。

 

 

3. コンパクトバルコニーが生む快適な暮らし

 

ベランダを小さくするという選択には、見た目以上の実用的なメリットがあります。まずひとつは、室内空間をより広く使えるということ。大きなベランダは屋根や構造にも影響し、結果的に建築コストを押し上げる要因にもなります。コンパクトに設計することで、2階の床面積をリビングや収納スペースに振り分けることができ、限られた敷地をより有効に活用できます。また、防水工事の範囲が小さくなることで、メンテナンスコストを大幅に抑えられるという利点もあります。FRP防水やウレタン防水などは定期的な点検・補修が必要ですが、面積が小さければそれだけ負担も少なく済みます。雨漏りリスクも軽減でき、長期保証型の住宅ではこの差が大きな安心につながります。

さらに、掃除の手間が減るという日常的なメリットもあります。大きなベランダはホコリや落ち葉が溜まりやすく、意外と掃除が大変です。小さなバルコニーなら、気が向いたときにサッと掃除できる。そんな“ちょうど良いサイズ感”が、家事をラクにしてくれます。

 

 

4. 干す場所は外だけじゃない

 

ベランダを小さくすると聞くと、「洗濯物はどこで干せばいいの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。ですが、今の住まいづくりでは、洗濯動線の自由度が格段に上がっています。たとえば、ランドリールームと乾燥機を組み合わせれば、天気や時間を気にせず洗濯が完結します。室内干し専用のスペースを設ければ、花粉の季節や梅雨の時期も快適です。吹き抜けや階段ホールを利用して風の通り道をつくり、自然乾燥を促すプランも人気です。さらに、軒下やインナーバルコニーのように半屋外空間を設ければ、外干し派の方も満足できるでしょう。要は、「外に干す」という固定概念にとらわれず、ライフスタイルに合わせて柔軟に干す場所を設計すればよいのです。これこそが、現代のベランダ設計の考え方です。

 

 

5. コンパクトでも開放感を生むデザイン

 

ベランダを小さくすると閉鎖的になるのでは、と心配されることがあります。しかし、デザイン次第で小さくても十分に開放感を得ることができます。たとえば、手すりにガラスやルーバーを採用して視線を抜けやすくしたり、室内と同系色のタイルやデッキ材を使用して連続性を持たせたり。さらに、天井まで届くハイサッシを採用すれば、室内と外がひとつながりに感じられます。夜には間接照明や植栽をあしらい、夜ベランダの穏やかな時間を演出するのもおすすめです。

エステージの家づくりでも、こうした設計的な工夫によって、性能・デザイン・機能性のすべてを両立しています。小さなベランダでも、工夫次第で暮らしの質は大きく変わるのです。

 

 

6. ベランダを削るという新しい発想

 

広いベランダを持つことが贅沢だとされた時代から、今は「必要な分だけを残す」という合理的な考え方へと変化しています。ライフスタイルの多様化や住宅性能の進化が進む中で、本当に必要なのはちょうどいい広さを見極めることです。広さを追い求めるよりも、使うときに快適で、メンテナンスもしやすく、エネルギー効率にも優れたベランダをつくること。これが、これからの時代の賢い家づくりです。

エステージのGX志向型住宅では、HEAT20 G2グレード相当の断熱性能と制震ダンパーTRCを標準採用。性能が高いからこそ、開く場所と閉じる場所を正確にデザインでき、コンパクトでも快適なベランダ空間を実現しています。

 

 

まとめ:広さより「使いやすさ」で選ぶベランダ設計

 

ベランダは、ただ外にある空間ではなく、暮らし方そのものを映す場所です。
大きさを競う時代は終わり、いま求められているのは「暮らしのリズムに合ったサイズ」。必要な機能を残し、無理のないメンテナンスで長く快適に使える。そんなコンパクトバルコニーこそ、これからの家づくりの新しいスタンダードです。住まいの性能が進化した今だからこそ、「削る」という発想が暮らしを豊かにする。小さくして広く暮らす——その心地よさを、エステージの家でぜひ体感してみてください。