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毎日が楽になるキッチン収納

2025.08.25

 

 

キッチンは、家の中でも最も物が集まりやすい場所です。調理器具、食器、調味料、保存食品、キッチン家電…。さらに近年では、ホームベーカリーや高性能ミキサー、エアフライヤーなど、用途に特化した家電も増えています。これらをどこに収納するか、どう使うかによって、キッチンの快適さは大きく変わります。その中でも特に重要なのが、しまう場所と使う場所を一致させるという考え方です。簡単に言えば、使うすぐそばに置く、片付けやすい場所に収納するということ。一見当たり前のようですが、実際の生活では収納場所と使用場所が離れていて、無駄な移動や探す手間が生じているケースは少なくありません。今回は、注文住宅ならではの自由度を活かして、しまう場所=使う場所の考え方をどうキッチン収納計画に取り入れるかを、具体例を交えて解説していきます。

 

 

しまう場所と使う場所が一致すると何が変わる?

 

例えば毎日のお弁当作りを思い浮かべてください。フライパンを使おうとすると、コンロから離れた食器棚の下段に収納されているため、毎回数歩移動しなければならない。さらに、調味料はシンク横の戸棚にあり、コンロに戻ってからまた取りに行く。こうした動きが一度の調理で何度も発生すると、時間も体力も余計に消耗します。逆に、フライパンや鍋はコンロ下の引き出しに、調味料はコンロ横のスパイスラックに置いてあれば、手を伸ばすだけで使えます。この差はほんの数秒ですが、毎日何十回も繰り返されることで、大きな時短とストレス軽減につながります。食器の片づけも同じです。食洗器から出した食器を、ダイニングテーブルから遠い場所の棚にしまっていると、毎回移動が発生しますが、ダイニング近くのカウンター下に収納すれば、最小限の動きで完結します。こうした使う場所の近くにしまうという配置が、使いやすいキッチンの基本です。

 

 

注文住宅ならではの収納計画の強み

 

分譲住宅やマンションの既製キッチンは、ある程度収納場所が決まってしまいます。一方、注文住宅では間取りや家具配置を含め、最初からどこで何を使うかを想定して収納を計画できます。これは、日々の暮らしに直結する大きな利点です。例えば、パン作りが趣味の方なら、ホームベーカリーやミキサー、軽量器具などをまとめて作業台の近くに置く専用スペースを作れます。また、子育て世帯なら、子ども用の食器やおやつを低めの位置に収納し、自分で取り出せるようにすることも可能です。こうした細やかな配慮は、既製の収納ではなかなか実現できません。

 

 

ゾーニングで動作の流れを整理する

 

効率的な収納計画をを立てるためには、キッチンを作業ごとにゾーン分けするのがおすすめです。例えば、調理ゾーン・下ごしらえゾーン・配膳ゾーンという3つのエリアに分けます。調理ゾーンにはコンロ周りを中心に鍋、フライパン、調味料、キッチンツールをまとめます。下ごしらえゾーンでは、シンク周辺にまな板、包丁、ボウル、ザルなどを置きます。配膳ゾーンには、ダイニング側や食洗機付近に食器、カラトリー、ランチョンマットを収納します。こうして作業の流れごとに使う場所のすぐ近くにしまう場所を設定すると、動線が短くなり、複数人でキッチンに立ってもスムーズに動けるようになります。

 

 

高さ、奥行き、開き方まで考える

 

収納計画では、位置だけでなく高さや奥行きも重要です。よく使う物は腰から肩の高さに置くと、かがんだり背伸びせずに取り出せます。重い鍋やホットプレートは腰より下、軽い物や季節物の調理器具は上部の吊り戸棚へ。奥行きは深すぎると奥の物が取り出しにくくなるため、引き出し式収納がおすすめです。奥まで一目で見渡せ、手前の物をどかす必要がありません。さらに、扉タイプより引き出しタイプの方が、開けた瞬間に中身が見えるため、探す時間を減らせます。

 

 

 

パントリーの位置と使い方

 

近年人気の高いパントリーは、しまう場所と使う場所を広げる役割があります。保存食品や飲料水、非常食、ストック用の調味料など、日常的には使わないが必要な物をまとめて収納できます。これにより、キッチン本体の収納は日常使いの物だけに絞ることができ、作業台周りがスッキリします。注文住宅でパントリーを設ける際は、出入口の位置がポイントです。キッチンの動線上、できればワンアクションでアクセスできる場所にすれば、必要な時にすぐ取りに行けます。扉を引き戸にすれば、開閉のスペースも取らず、動きやすくなります。

 

 

美観と実用性を両立させる工夫

 

しまう場所と使う場所を一致させることで、出しっぱなしになりがちな調理器具や調味料が自然と収納され、キッチン全体が整います。特に、リビングから見えるオープンキッチンでは、美観の維持はとても大切です。調理家電や調味料も、扉付き収納や引き出しに入れておけば、必要な時だけ取り出せ、普段は生活感を隠せます。さらに、収納場所を決めておくことで、家族全員が物の場所を共有でき、誰でも同じ場所に戻せるようになります。結果として、片付けの習慣も自然と身に付きます。

 

 

まとめ

 

使いやすいキッチンは、特別な設備や広さがなくても、しまう場所と使う場所を一致させるだけで実現できます。注文住宅なら、間取りや家具の配置から収納の高さや奥行きまで家族の生活に合わせて設計できるのが強みです。毎日立つ場所だからこそ、動きやすく、片付けやすく、美しく保てる空間にすることが大切です。収納計画は、完成してから変えるのが難しい部分です。家づくりの初期段階からどこで何を使うかを想像しながら計画すれば、暮らしやすさが何倍にも広がるでしょう。