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カビ知らずの家にしたい!家を建てる際に外せない湿気対策とは
2025.06.16

「せっかく家を建てたのに、すぐに壁にカビが…」
そんな声を聞くことがあります。夢のマイホームも湿気対策が不十分だと、住み始めてから不快感や健康被害に悩まされることになりかねません。
とくに日本の気候は高温多湿。梅雨時期や夏場を中心に、住宅の内部に湿気がこもりやすく、それがカビやダニの発生原因になります。また、湿気は単なる生活の不快さにとどまらず、建物そのものの劣化を早めるリスクにもなりかねません。
この記事では、注文住宅で絶対に押さえておきたい湿気対策の考え方と、実際にどのような工夫が必要なのかを詳しく解説していきます♪
なぜカビが発生するのか?湿気のメカニズムを知ろう
カビの発生条件は「湿度70%以上」「温度20~30℃」「栄養(ホコリなど)」の3つ。このうち、住まいで最もコントロールしやすいのが「湿度」です。つまり、湿気をしっかりコントロールすれば、カビを防ぐことができるということ。
しかし、現代の住宅は高気密・高断熱化が進み、外の空気が入りにくくなっています。これは冷暖房の効率を上げる上では理想的ですが、通気や換気を正しく設計しないと、室内の湿気がこもりやすくなるというデメリットも抱えています。
湿気がもたらす住宅への深刻なダメージ
湿気は目に見えない分、気づかないうちに住宅に悪影響を及ぼします。とくに木造住宅では、柱や梁に湿気がたまると木材が腐朽菌に浸されやすくなり、建物の耐久性が大きく損なわれることもあります。
また、壁の内部に結露が起こる「内部結露」は、断熱材の性能を劣化させるだけでなく、カビの温床にもなります。こうした症状は、完成後すぐには現れず、数年後に目立ち始めることが多いので、建てる段階での対策が何より重要です。
注文住宅でできる湿気対策とは?
1. 通風設計を意識した間取りづくり
湿気対策の基本は、空気をしっかり動かすこと。家の中の空気が滞らないよう、風の通り道を設計段階から考える必要があります。
例えば、南北や東西に窓を配置して自然な風が流れるようにすることや、廊下や階段を通気に利用する工夫が有効です。窓を開けても風が抜けない間取りでは、湿気はこもりがちになります。
最近では、室内窓や吹き抜けを取り入れて上下の空気の流れを作るアイデアも増えてきました。特に2階建ての場合、階段の吹き抜けを利用した通気は湿気対策にもなり、快適性の向上にもつながります。
2. 断熱と気密のバランスを取る
湿気は温度差によっても発生します。たとえば、冬場に室内が暖かく外が寒いと、壁内で結露が発生しやすくなります。これを防ぐには、断熱と気密のバランスを取る設計が欠かせません。
高断熱住宅では、屋根・外壁・基礎などの各所で断熱材の種類と施工精度が重要になります。とくに壁内結露を防ぐために、防湿層と通気層を正しく施工することがポイントです。
断熱性能を重視するあまり気密を高めすぎて換気が不十分になる例もあるため、設計士と一緒にバランスを見ながら計画することが大切です。
3. 換気システムの種類と設置位置を見直す
注文住宅では換気計画を一から立てることができるため、24時間換気システムの種類や配置場所にもこだわりましょう。
もっともおすすめなのは「第一種換気システム」。これは、給気と排気の両方を機械で制御し、室内の空気を強制的に循環させる方式です。熱交換機能付きのものを選べば、外気の影響を受けずに効率よく換気でき、室内の湿気も効果的に排出できます。
また、水回り(浴室・洗面所・キッチン)には個別の換気扇を設けることで、発生源から湿気をすばやく排出する設計が理想です。
見逃されがちな「収納・床下・外構」の湿気対策
湿気のたまり場は、実は「目につかない場所」に多く存在します。
たとえばクローゼットや押入れの中。これらの収納空間には湿気がこもりやすく、カビの発生源となりやすい場所です。通気口を設ける、扉をルーバー仕様にする、湿度調整建材を使うなどの工夫で、湿気対策が可能です。
また、床下の湿気も侮れません。注文住宅では「基礎断熱」と「床下換気」を併用し、床下に湿気がこもらない構造を選ぶことが重要です。防湿シートや基礎パッキン工法など、工務店によって採用している工法が異なるため、具体的な仕様を確認することが大切です。
さらに、外構(庭や敷地)も影響します。隣地との距離が近く、風通しが悪い土地では植栽の配置やデッキの高さなどでも通気性が変わります。敷地条件を活かした設計も、湿気対策の一環です。

まとめ
湿気は目に見えない住まいのリスクです。だからこそ、注文住宅の自由度を活かして、最初からしっかりと湿気に強い家づくりを意識することが大切でしょう。
間取り、換気、素材選び、そして土地に合った設計。すべての要素を組み合わせることで、カビ知らずで快適な住まいが実現します。
家の中に湿気をためないことは、単に「不快感をなくす」というだけでなく、健康な暮らしを守り、住宅の劣化を防ぎ、冷暖房効率も高めることにもつながります。つまり湿気対策は、見た目やデザインと同じくらい、あるいはそれ以上に「住み心地の良さ」に影響する基本要素なのです。
せっかく注文住宅を建てるなら、家族が長く安心して過ごせる家にしたいですよね。だからこそ、目に見えない湿気にも目を向けて、設計段階からしっかり対策を組み込むことが何より重要です。